前回の記事で、地域ごとの肥満率を調べ人種や民族による影響があるのかを考察してみました。
しかし、本当に調べたかったことは別にあります。
本当に調べたかったこととは、新型コロナウイルスの感染率や重症化率に人種や民族による差があるかどうかについてなのです。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まり約半年が過ぎ各国の状況が明確になってきたのですが、予想以上に地域差のある結果となり、各国政府の対応だけでは説明できない部分が多分にあるのではないかとの意見も出てきています。
ひょっとしたら新型コロナウイルスは、人種や民族などにより、かかりやすなどに差があるのではないかと海外の反応サイトでも話題になっています。
当初は、BCGワクチンの接種が新型コロナウイルスの感染や重症化に影響があるのでは仲と噂されていましたが、BCGワクチンの接種地域と関係のない場所でも感染率や死亡率の低い地域があり、今ではこの説についての深い議論はされていません。
国によって医療体制やPCRの検査体制、更には人口密集度や外国人の流入量の多さなどに違いがあるため一概には言えませんが、新型コロナウイルスの感染率・重症化率と人種・民族の関係性を調べてみる価値はありそうです。
分かりやすくするため、ある程度国(地域)を絞ってデータを示しますが、この際に感染者数の多い国や少ない国で選んでしまうと、国の新型コロナウイルス対策や医療崩壊などの影響がもろに出てしまうので、新型コロナウイルスと関係のない各地域ごとのGDP上位5カ国でデータを取ります。
GDPの上位5カ国にしたのは、経済力が極端に低い国は新型コロナウイルスの検査体制が整っておらず、感染状況がそもそも分かっていない可能性もあり得るためです。
そして調べるデータは、現状、国ごとの新型コロナウイルスの感染状況がもっとも反映しているであろう死亡率のデータとします。(2020年6月25日現在の100万人当たりの死者数)
感染者数(感染者率)のデータは、各国の検査体制レベルに大きく依存してしまうため、ここでは死亡率のデータを採用しました。
当然、死亡率のデータでも医療体制や高齢化率(新型コロナウイルスは高齢なほど重症化する)などに作用されるため正確性に欠く部分はありますが、抗体検査などの調査データなどが出揃っていない現状では、死亡率がもっとも新型コロナウイルスの感染率や重症化率を示すデータになるかと思います。
それでは、以下『2020年6月25日現在の100万人当たりの新型コロナウイルスによる各国ごと死者数』です。
北米
アメリカ:376
カナダ:225
メキシコ:189
北米地域の国は、どこも新型コロナウイルスによる死亡率が高くなっています。
中米・カリブ海諸国
グアテマラ:34
パナマ:127
コスタリカ:2
エルサルバドル:19
ホンジュラス:42
中米・カリブ海地域の国は、新型コロナウイルスによる死亡率に大きな差があるようです。
南米
ブラジル:253
アルゼンチン:25
コロンビア:49
チリ:248
ペルー:260
南米の国も、新型コロナウイルスによる死亡率に大きな差があります。
ヨーロッパ
ドイツ:107
イギリス:635
フランス:455
イタリア:573
スペイン:606
現在、新型コロナウイルスによる死亡率がもっとも高い地域がヨーロッパで、特にヨーロッパ経済の中心である西寄り国々で死亡率が高くなっています。
旧ソ連圏(バルト三国は除く)
ロシア:59
カザフスタン:7
ウクライナ:24
ベラルーシ:38
ウズベキスタン:0.6
旧ソ連圏は、ヨーロッパに比べるとだいぶ新型コロナウイルスによる死亡率が低く、中央アジアの国は中東を除く他のアジア地域と同じくかなり低いことが分かります。
中東
サウジアラビア:40
イラン:121
アラブ首長国連邦:31
イラク:33
カタール:37
中東各国の新型コロナウイルスによる死亡率は、新型コロナウイルスの発見初期に感染が広がったイランを除き、平均程度の値となっています。
南アジア
インド:11
パキスタン:18
バングラディシュ:10
スリランカ:0.5
ネパール:0.9
南アジアの国は、総じて新型コロナウイルスによる死亡率が低くなっています。
東南アジア
インドネシア:10
タイ:0.8
シンガポール:4
マレーシア:4
フィリピン:11
東南アジアも南アジアと同じく新型コロナウイルスによる死亡率が低い地域となっています。
東アジア
中国:3
日本:8
韓国:6
台湾:0.3
香港:0.9
東アジアには新型コロナウイルスの発祥地となった中国があり、また中国との人の往来が激しい地域でありますが、新型コロナウイルスによる死亡率は非常に低くなっています。
日本は世界的に見れば新型コロナウイルスによる死亡率が低い国ですが、この地域ではむしろ高いほうで、これは世界でもっとも高齢者率が高い国という背景があるのかもしれません。
オセアニア
オーストラリア:4
ニュージーランド:4
パプアニューギニア:0
フィジー:0
ソロモン諸島:0
オセアニアはアジア以上に新型コロナウイルスによる死亡率が低い地域で、南洋諸島の国々では海の孤島であるという利点を活かしたのか新型コロナウイルスで人が亡くなっていない国も普通にあります。
北アフリカ
エジプト:24
アルジェリア:20
モロッコ:6
リビア:3
チュニジア:4
北アフリカはヨーロッパと比較的近い位置にありますが、新型コロナウイルスによる死亡率には大きな差があります。
サブサハラアフリカ
ナイジェリア:3
南アフリカ:37
タンザニア:0.4
コンゴ民主共和国:2
コートジボワール:2
サブサハラアフリカとはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で、基本的に黒人が暮らす地域となります。
この地域の新型コロナウイルスによる死亡率はとても低く、白人が多く住む南アフリカは他の地域より高くなっています。
しかし、人種的にヨーロッパや北米の人とそう変わりのないオーストラリアやニュージーランドの死亡率がとても低いので、西洋人が新型コロナウイルスに感染しやすい(または重症化しやすい)ということには矛盾を感じざるを得ません。
また、人種的に近しい人が住むはずの中南米一帯やサブサハラアフリカ一帯では、国によって死亡率の差が大きく、人種よりも国の対応などが死亡率に影響しているに思えます。
サブサハラアフリカの中で白人が多い南アフリカが他地域よりも新型コロナウイルスによる死亡率が高いので、人種的な影響があるようにも感じますが、南米で見ると、西洋(白人)系の多いアルゼンチンの死亡率が低い一方で、原住民(モンゴロイド)系の多いペルーの死亡率が高く、西洋人が人種的に新型コロナウイルスによる感染しやすい(重症化しやすい)という根拠は薄れます。
南アジアから東アジアまでの地域は総じて新型コロナウイルスによる死亡率が低いのですが、人種的に南アジア・東南アジアと東アジア人はかなり遠く、人類の移動の流れ的にも相当早い段階で分かれているため、これが人種的要因なのかは不明です。
そもそもヨーロッパの中でも新型コロナウイルスによる死亡率に大きな差があり、スロバキアなどは日本よりも少ない100万に当たり5人の死者数しか出していません。(スロバキアがコロナ封じ込めに成功した3つの要因)
以上のことから、新型コロナウイルスの感染のしやすさや重症化のしやすさに人種による差はあまり感じず、あったしてもごく僅かなものと思われます。
1、人口の密集度や外国からの人の流入量
2、国民の生活様式
3、政府などの対策
4、気候
日本でそこまで新型コロナウイルスの感染が広がらなかった原因は、2の国民の生活様式(衛星概念やマスクの着用)の影響が大きいのでしょう。
逆にヨーロッパ西部で感染が広がった理由は、1の『人口の密集度や外国からの人の流入量』と2の『国民の生活様式』(握手やハグの文化)にあるかと思います。
ブラジルで新型コロナウイルスによる死者数が多い理由は、3の『政府などの対策』であることが明確です。
オーストラリアやニュージーランドでそこまで新型コロナウイルスの感染が広がらなかった理由は、島国であるため外国からの人の流れを管理しやすかったことと、人口密集度の低さ、更には南半球に位置するため新型コロナウイルスの流行初期段階が夏だった関係で、対策をとる時間的なゆとりがあったなど、様々な要因が複合的に絡み合っているのかと思います。
東南アジアや南アジア、アフリカなどは、気温の高さなどによる影響で感染がある程度抑えられている可能性もありますが、そもそも経済力の弱い国が多い地域なので、医療体制が整わず検査が行き届いていないだけかもしれません。
いずれにせよ、新型コロナウイルスの感染と人種・民族的には大きな関係がないように思います。
このことは、超多民族国家のアメリカが人種ごとの感染者率・死亡率などを調査し発表してくれればすぐに分かるのかもしれませんが、人種差別問題が大問題となっているアメリカの現状を考えれると難しい話なのかもしれません。
同じ西洋文化をもつオーストラリアやニュージーランドは、様々な事象がプラスに動いて感染を抑えることが出来たのでしょう。
これは人種でなく文化の影響で、少なくとも新型コロナウイルス自身が人種をより好んで感染しているとは思えません。
以上のことを踏まえると、人との距離を保ったりマスクをしたりするなどして他人に新型コロナウイルスを移さないように行動すれば、感染はかなり抑えられるということです。
ということで、ワクチンが開発されるまでは世界各国が協力や工夫をして、新型コロナウイルスの感染拡大を防いでほしいと思います。
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