地球の歴史上、文明を持った生物は人間(ホモ・サピエンス)しかいません。
現存動物の中で人間に次ぐ頭脳を持つというチンパンジーも、文明を持つような暮らしは全くしていませんし、チンパンジーから進化していった類人猿などのヒト科動物も文明を持つには至りませんでした。
現生人類(ホモ・サピエンス)と3万年前まで共存し混血も可能なほど近い種だったネアンデルタール人は、文明に近いものを有していましたが、それが開花するには至りませんでした。
考古学者のゴードン・チャイルドは、以下の項目を文明の指標として挙げています。
・食料の生産
・大きな人口
・職業や階級の分化
・都市の形成
・金属の利用
・文字の利用
・公共的な建造物
・科学の発達
・芸術の発達
この項目を全て達成するのはかなり大変で、人間しか文明を持てなかったのも納得です。
特に重要な条件は以下の3つです。
・頭が良い
・道具を使いこなす
・複雑な言葉を話す
頭が良いことは、文明を有する基本的な条件であることは説明するまでもありません。
道具を使うということは手先が器用であるということであり、文明の条件である様々なものを作ることに繋がります。
鳴き声などではなく複雑な言葉を使えなければ、新しい道具などを作ってもそれを伝えていくことはできません。
現生人類(ホモ・サピエンス)がネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)に生存競争で勝ち抜いた理由は、一説に複雑な言語を使えたからだと言われています。
当然、人間の祖先であるサル類は文明を持つに至る進化をすることが可能ですが、それ以外の哺乳類に文明を持つ可能性はあるでしょうか?
例えば、とても頭が良いと言われている『イルカ』はどうでしょう?
イルカは頭が良く、超音波を使って仲間とコミニュケーションを行っているなどとも言われています。
しかし、イルカは水中生活に適応する過程で手をヒレ状に変えてしまったため、手先の器用さが圧倒的に不足しており、文明を持つことは難しいと思われます。
『イヌ』はどうでしょうか?
イヌは人の言うことを理解し、今日では犯罪捜査などでも活躍しています。
また野生のイヌであるオオカミも群れを組んで巧みに狩りをするなど、とても頭の良い動物として知られています。
しかし手先の器用さや言葉の扱いを考えれば、イヌ(オオカミ)が文明を持つことは難しいでしょう。
以上のように、現存する哺乳類の中でサル類以外に文明を持つ種を見出すことは難しいようです。
この鳥類と文明について、先に挙げた文明を持つための3つの条件ごとに調べていきたいと思います。
頭が良い
いきなりですが、以下で示すカラスの動画をご覧ください。
この動画のとおり、鳥類の中にはチンパンジーやゴリラなどのヒト科動物に負けないような頭の良い種がいることが知られています。
道具を使いこなす
鳥類の多くは木の枝などを使い複雑な巣を作ります。
中には、以下のようなとても巨大で複雑な巣を作る種もいます。
哺乳類は頭が良い種でも巣を作ることはあまりせず、せいぜい穴を掘る程度です。
手先が器用なサル類ですら、あまり複雑な巣は作りません。
哺乳類で唯一複雑な巣を作る種はビーバーですが、ビーバーはネズミ類で決して頭が良い動物とは言えません。
一方、鳥類は複雑な巣を作る種が多く、更には以下の動画のように求愛の際に色彩豊かな模様を作るなど、一種の美術的な感覚まで持ち合わせてる種までいるのです。
複雑な言葉を話す
鳥類の中に人の声を真似る種がいることは多くの人がご存知でしょう。
例えば、以下の九官鳥やヨウムなどは、とてもうまく人の言葉を喋っている様子がわかります。
これは人の声を真似をしているだけで言語をを理解しているわけではありませんが、鳥類には体の構造的に複雑な言語を使える可能性を秘めている種が存在してるわけです。
以上のように、鳥類は文明を持つ芽を持っている種が存在しています。
そして文明を持つ条件の全てを兼ね備えている鳥類が、カラス類及び大型のインコ類です。
カラス類がとても頭の良いことは先の映像で紹介したとおりで、それ以外にも、針金のハンガーなどを使って器用に巣を作ったり、人の声真似も九官鳥やヨウムほどではないにせよ行っていることが確認されています。
大型のインコ類の中にも頭が良いことで知られる種がおり、これらの種は道具なども器用に使いこなしています。
特に大型のインコ類は人の声真似がうまいという特徴があります。
このようなカラス類や大型のインコ類に進化の過程でいくつかの幸運が重なれば、文明を持つ可能性があります。
それが起こるには数百万年以上の時間が必要でしょうが、可能性も十分あるのではないかと私は考えています。
そして確実に言えることは、そのころ私は生きていないということです。(^_^;)
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