1年ほど前に『イリオモテヤマネコの嘘』と題して、イリオモテヤマネコに関する不都合な事実を記事にしましたが、その記事内ではイリオモテヤマネコを日本の固有種だと信じたい人に配慮して、あまり真実の追及ができていない部分がありました。
ですので今回は、イリオモテヤマネコに関してもう少し衝撃的な事実を公表したいと思います。
実は、イリオモテヤマネコは既に存在していません!
正確に言えば、イリオモテヤマネコというネコは元々存在していなかったのです。
もちろん西表島にヤマネコは存在していますが、それはベンガルヤマネコもしくはベンガルヤマネコの亜種であるアムールヤマネコということです。
日本人にはにわかに信じがたい事実ですが、イリオモテヤマネコは独立種どころかベンガルヤマネコの亜種としてすら認められないという調査結果が発表されています。
その調査結果を発表したのは『キャット・スペシャリスト・グループ(Cat Specialist Group)』という団体で、この団体が最新の科学的調査を踏まえてネコ科動物の分類について見直し作業を行い、2017年4月に発表しました。
その際に、イリオモテヤマネコは亜種としても認められなかったのです。
↓キャット・スペシャリスト・グループが発表したネコ科動物の分類
Revised taxonomy of the Felidae
上記リンク先PDFの2ページ目の左上がベンガルヤマネコについての記述で、『Prionailurus bengalensis bengalensis』と書いてあるのがベンガルヤマネコの基本種のことで、『euptilurus』と書いてあるのがベンガルヤマネコの亜種であるアムールヤマネコのことです。
ベンガルヤマネコの亜種については、基本種を含めこの2種しか存在していないことになっています。
ちなみにキャット・スペシャリスト・グループという団体は、動植物の保護などに対し最も権威がある『国際自然保護連合』(IUCN)の『種の保存委員会』に所属する団体で、全くもって怪しい団体などではありません。
更に国際自然保護連合(IUCN)といえば日本の環境省も加盟しており、以下のような誰もが聞いたことのあるような様々な自然保護に関する活動を行っています。
・レッドリストの作成
・世界の侵略的外来種ワースト100の作成
・ワシントン条約の作成(アメリカ政府と共同)
・世界遺産(自然遺産)の現地調査
つまり、正に名実ともに自然保護の権威である国際自然保護連合に属する団体が、イリオモテヤマネコという種の存在を否定しているです。
にもかかわらず、未だに日本の行政機関やマスコミはイリオモテヤマネコを日本の固有種として扱い、日本人に真実を伝えていません。
国際的に権威のある種の保存に関する団体から、亜種としてすら認められていないイリオモテヤマネコを日本の固有種というのはさすがに無理がありすぎます。
日本人はいい加減イリオモテヤマネコの幻想を解き、本来あるべき“ベンガルヤマネコ”の保護を行うべきかと思います。
コメント
『Cat Specialist Group』がイリオモテヤマネコを独立種またはベンガルヤマネコの亜種として認めていない一方で、2005年に発行された哺乳類の分類をまとめた『Mammal Species of the World』の第3版(通称:MSW3)ではイリオモテヤマネコは1つの独立種として認められています。
このことについては、どうお考えでしょうか?
『Mammal Species of the World』第3版は、現在判明している全哺乳類の分類をすることを目的にDon E. Wilson氏とDeeAnn M. Reeder氏によって書かれました。(第3版は5416種の哺乳類を分類した)
一方『Cat Specialist Group』は、世界各国にいる200人弱のネコ科動物の専門家集団です。
2つの発表にはイリオモテヤマネコの分類に違いがあるわけですが、どちらがイリオモテヤマネコ及びネコ科動物の分類について詳しい知識を持っているかは火を見るよりも明らかだと思います。