小型の肉食恐竜の中には、かなりの知能をもっていた種がいたと現在では考えられています。
1億1500万~1億800万年前まで生存していたデイノニクス、7,500万~7,000万年前まで生存していたヴェロキラプトルなどがその例で、特に恐竜絶滅期まで生存していたトロオドンはとても頭が良かったとの研究が示されています。
トロオドン
photo credit:Dinosaurios Park, Troodon by HombreDHojalata
- 【学名】
- Troodon
- 【全長】
- 1.5m~2m
- 【体重】
- 40kg~50kg
- 【分類】
- 爬虫網
- 竜盤目
- トロオドン科
- トロオドン属
- 【生息域】
- 北アメリカ大陸
- 【生息年】
- 7400万年前~6500万年前
このような小型肉食恐竜は、二足歩行をしていたため手を使うこともできました。
手で細かい作業をできるか否かは、文明をもつ条件の1つとなります。
こういった小型の肉食恐竜が6500万年前に絶滅せずにそのまま進化していれば、文明をもった可能性があります。
しかし、地球の歴史上、文明をもったの生物は現生人類であるホモ・サピエンスだけです。
ホモ・サピエンスと混血可能だったネアンデルタール人ですら、文明をもつまでの進化はできませんでした。
つまり、文明をもてるかもてないかは、微妙な進化の違いでしかないのです。
逆に言うと、ほんの少しでも進化がうまくいかないと文明をもてないということになります。
少し話を変えて、創作物に出てくる知的生命体の話をしましょう。
例えばスターウォーズでは様々な種族の知的生命体が登場しますが、みんな直立歩行をしています。
映画とはいえ、このことは進化学的にある程度正しいと想定されます。
なぜなら、文明をもつほどの知的生命体は体重に対して脳の量が大きくなり頭が重くなり、直立していなければバランスが悪くなってしまうのです。
上記で紹介した小型肉食恐竜は、二足歩行とはいえ直立歩行ではなく、頭部(頸部)が前に倒れ尻尾でバランスをとる体勢となっています。
この体勢で頭が重くなると前に倒れてしまうので、もしそういった進化が起きた場合は尻尾が強大化または延長させるしかありません。
しかし、そうなると生物としてのバランスが相当に悪くなってしまいます。
その点を考えると、恐竜は脳が大きくなる進化は起こりづらかったとも考えられるのです。
もちろん6500万年という時間の進化でこの問題は解決できるかもしれませんが、ネアンデルタール人の例を踏まえても恐竜が文明をもつまでの進化は簡単でないものと思われます。
また、恐竜が音(声)をどれぐらい扱えたかは未知数です。
複雑な声を扱えないと発明した物や考えの伝承ができないので、声を扱えることは文明をもつ条件となります。
そもそも恐竜の構造で、現生人類のような声を扱うことが可能なのかどうかも分かりません。
『恐竜が現在まで生きていたら文明をもてたか?』という話は面白いテーマではありますが、実際に文明をもつことは難しかったと個人的には考えます。
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