脊椎動物の分類は、
哺乳類
鳥類
爬虫類
両生類
魚類
と5つに分けるのが一般的で、当ブログでも基本的にこの分類法(進化分類学)を用い記事を書いています。(正確には、この5つ以外にヌタウナギとヤツメウナギが存在している)
しかし、こんな話を聞いたことがないでしょうか?
『鳥は恐竜の生き残りである』
この言葉が事実なら、上記した分類法に問題が生ずる可能性があります。
なぜなら、恐竜は爬虫類の一種とされているのです。
鳥が恐竜の生き残りなら、鳥類は爬虫類に分類される可能性が出てきます。
このことに関連するのですが、現在の分類学は上記した進化分類学ではなく、進化の過程でどのように分岐していったかという分岐分類学のほうが重要視されるようになっています。
ということで、分岐学を用いた脊椎動物の分類を見てみましょう。
魚類から爬虫類・哺乳類までの分岐
※太字は現生動物
※青字はまとめて魚類とされる
脊椎動物
└無顎類(ヌタウナギ、ヤツメウナギ)
└顎口類
└軟骨魚類
└硬骨魚類
└条鰭類
└肉鰭魚類
└肺魚類
└四肢動物
└両生類
└爬形類
└有羊膜類
└単弓類
└獣弓類
└哺乳類
└竜弓類
└爬虫類
爬虫類(俗に言う爬虫類)の分岐
※太字は現生動物
※赤字は広い意味で恐竜と見なされる動物(子供向けの恐竜図鑑などに掲載されている動物)
爬虫類
└双弓類
└魚竜類
└竜類
└鱗竜形類
└鰭竜類
└首長竜類
└鱗竜類
└ムカシトカゲ
└有鱗類
└トカゲ
└ヘビ
└主竜形類
└カメ
└主竜類
└クルロタルシ類
└ワニ
└鳥頸類
└翼竜様類
└翼竜類
└恐竜様類
└恐竜
恐竜から鳥類までの分岐
※太字は現生動物
※赤字は著名な絶滅動物(恐竜)
恐竜
└竜盤類
└竜脚形類
└竜脚類
└ブラキオサウルス
└獣脚類
└テタヌラ類
└カルノサウルス類
└アロサウルス
└コエルロサウルス類
└コンプソグナトゥス類
└ティラノサウルス
└マニラプトル形類
└マニラプトル類
└エウマニラプトル類
└トロオドン
└鳥群
└古鳥類
└始祖鳥
└鳥胸類
└真鳥類
└鳥類
以上の分岐によると、カメはトカゲよりも同じ主竜形類に属する鳥類に近い存在となります。
ワニは更に下位分類である主竜類まで鳥類と同じです。
つまり以下のワニは、
このコモドオオトカゲより、
こちらのマクジャクに近い存在なのです。
そう考えた場合、ワニとトカゲを爬虫類として鳥を爬虫類としないことには無理が生じます。
分岐学上、鳥類はどう考えても爬虫類なのです。
どうしても鳥類を別枠で考えたいのなら、ムカシトカゲやトカゲ・ヘビが含まれる鱗竜形類とカメやワニが含まれる主竜形類を分けて考えなければなりません。
更に言えば、カメとワニも同じ分類でいいのか微妙になってきます。
以上のように、鳥を鳥類とするか爬虫類とするかは案外難しい問題なのです。
一般人にはなかなか受け入れがたい話かもしれませんが、これは紛れもない事実であり、分岐学上は哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類という脊椎動物の分類に大きな意味は見い出せないわけです。
※とは言え、進化分類学を支持する人も多く一般人にも分かりやすいと思うので、当ブログでは特別な理由がない限り進化分類学に習って記事を書いていこうと思います。
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