耳から日本の夏をイメージさせる生き物といえば『セミ』をおいて他なりません。
このセミは、種類によって鳴き声が違うことは多くの人がご存知のことでしょう。
では、皆さんは『セミの鳴き声といえば?』と聞かれてなんと答えますか?
生息域の違いからセミのイメージにも地域性はありますが、少なくとも関東地方の平野部に住む人なら、この質問に対し『ミーンミーン』と答えるのが大半かと思います。
あるサイトがセミの鳴き声についてアンケート調査したところ、『ミーンミンミンミンミー』が2位に15倍以上の差をつけて圧倒的な1位でした。(参照)
このミーンミーンと鳴くセミは、鳴き声の通りミンミンゼミという種類です。
では、以下の画像から『セミ』と聞いてイメージするのはどちらでしょうか?
多くの人が(主に関東圏の人は)、上の写真にある茶色いセミを一般的なセミとして認識しているはずです。
実際にセミのイラストを画像検索してみても、ほとんどが茶色を強調して描かれていました。
しかしこれはアブラゼミで、下の写真にある羽が透明で緑がかったセミがミンミンゼミなのです。
つまり、日本人の多くはセミの鳴き声としてはミンミンゼミをイメージしているのに、実際の姿としてはアブラゼミをイメージしているわけです。
では、ここでアブラゼミの鳴き声を聞いてみてください。
実際に聞いているセミの鳴き声って、この『ジージージージリジリジリジリジリ』という音じゃないでしょうか?
セミは人にとってかなり身近な生き物ですが、意外と正確に認識している人は少ないようです。
逆にセミからしたら、人間もニホンザルも大した違いを感じていないのかもしれません。Σ(゚Д゚)
ということで、日本に生息する主なセミの一覧(沖縄諸島などの島のみに生息する以外の全種類)と鳴き声を紹介していきます。
※ちなみに鳴くセミはオスだけでメスは鳴きません。
ニイニイゼミ
- 【学名】
- Platypleura kaempferi
- 【分類】
- セミ亜科
- ニイニイゼミ族
- ニイニイゼミ属
- 【体長】
- 20mm~24mm
- 【生息域】
- 東アジア
ニイニイゼミは小型のセミで、近年数を増やしているとの報告もあるようです。
エゾゼミ
- 【学名】
- Lyristes japonicus
- 【分類】
- セミ亜科
- クマゼミ族
- エゾゼミ属
- 【体長】
- 40mm~46mm
- 【生息域】
- 北海道から九州
エゾゼミのエゾ(蝦夷)は北海道を表す言葉ですが、エゾゼミは日本全国に生息しています。Σ(゚Д゚)
コエゾゼミ
- 【学名】
- Lyristes bihamatus
- 【分類】
- セミ亜科
- クマゼミ族
- エゾゼミ属
- 【体長】
- 34mm~38mm
- 【生息域】
- 北海道から中国地方東部の本州、四国、サハリン
コエゾゼミはエゾゼミと同属のセミですが、日本への流入経路は別でサハリン方面から流入したと考えられています。
アカエゾゼミ
- 【学名】
- Lyristes flammatus
- 【分類】
- セミ亜科
- クマゼミ族
- エゾゼミ属
- 【体長】
- 39mm~44mm
- 【生息域】
- 北海道から九州
アカエゾゼミは体が少し赤みを帯びた(オレンジがかった)セミです。
キュウシュウエゾゼミ
- 【学名】
- Lyristes kyushyuensis
- 【分類】
- セミ亜科
- クマゼミ族
- エゾゼミ属
- 【体長】
- 32mm~40mm
- 【生息域】
- 中国地方西部の本州から九州、四国
キュウシュウエゾゼミは、九州を中心に生息してる蝦夷という名前を完全無視したセミです。(;^_^A
クマゼミ
- 【学名】
- Cryptotympana facialis
- 【分類】
- セミ亜科
- クマゼミ族
- クマゼミ属
- 【体長】
- 60mm~70mm
- 【生息域】
- 関東より南の本州、四国、九州、沖縄諸島
クマゼミは西日本に多く生息するセミで、西日本の人はミンミンゼミやアブラゼミではなくクマゼミのことを一般的なセミと認識しているそうです。
クマという名前が付くだけあり、日本最大クラスの大きさを誇るセミとなっています。
アブラゼミ
- 【学名】
- Graptopsaltria nigrofuscata
- 【分類】
- セミ亜科
- アブラゼミ族
- アブラゼミ属
- 【体長】
- 56mm~60mm
- 【生息域】
- 東アジア
アブラゼミは、ミンミンゼミと並ぶ日本を代表するセミです。
近年、ヒートアイランド現象の影響から都市部で数を減らしているという報告もあります。
ハルゼミ
- 【学名】
- Terpnosia vacua
- 【分類】
- セミ亜科
- ホソヒグラシ族
- ハルゼミ属
- 【体長】
- 28mm~32mm(オス)
- 【生息域】
- 関東より南の本州から九州、四国、中国
ハルゼミは、名前の通り春(4月末から6月)にかけて現れるセミです。
エゾハルゼミ
- 【学名】
- Terpnosia nigricosta
- 【分類】
- セミ亜科
- ホソヒグラシ族
- ハルゼミ属
- 【体長】
- 31mm~33mm(オス)
- 【生息域】
- 北海道から九州、中国
エゾハルゼミは、エゾゼミ同様に蝦夷(北海道)以外にも生息しています。(;^_^A
ヒメハルゼミ
- 【学名】
- Euterpnosia chibensis
- 【分類】
- セミ亜科
- ホソヒグラシ族
- ヒメハルゼミ属
- 【体長】
- 24mm~28mm(オス)
- 【生息域】
- 東北地方南部の本州から九州、四国
ヒメハルゼミのヒメは小さいという意味で、実際にハルゼミよりも少し小さいようです。
ヒグラシ
- 【学名】
- Tanna japonensis
- 【分類】
- セミ亜科
- ホソヒグラシ族
- ヒグラシ属
- 【体長】
- 28mm~38mm(オス)
- 【生息域】
- 北海道から九州、中国
ヒグラシは夕暮れに鳴くセミで、他のセミほど騒がしくない心地よい鳴き方をします。
名前は『日を暮らす』という意味から付けられています。
ミンミンゼミ
- 【学名】
- Hyalessa maculaticollis
- 【分類】
- セミ亜科
- ミンミンゼミ族
- ミンミンゼミ属
- 【体長】
- 33mm~36mm
- 【生息域】
- 北海道から九州
ミンミンゼミは、日本の夏を象徴するセミとして広く知られています。
ツクツクボウシ
- 【学名】
- Meimuna opalifera
- 【分類】
- セミ亜科
- ツクツクボウシ族
- ツクツクボウシ属
- 【体長】
- 29mm~31mm
- 【生息域】
- 東アジア
ツクツクボウシは夏の終盤から秋にかけて現れるため、夏の終わりを告げるセミとして知られています。
チッチゼミ
- 【学名】
- Kosemia radiator
- 【分類】
- チッチゼミ亜科
- チッチゼミ族
- チッチゼミ属
- 【体長】
- 20mm~28mm
- 【生息域】
- 北海道から九州
チッチと鳴くからチッチゼミ・・・分かりやすいです。(;^_^A
エゾチッチゼミ
- 【学名】
- Kosemia yezoensis
- 【分類】
- チッチゼミ亜科
- チッチゼミ族
- チッチゼミ属
- 【体長】
- 20mm~28mm
- 【生息域】
- 北海道、ロシア西部、朝鮮半島、中国
エゾチッチゼミは日本では北海道にのみ生息する北方系のセミです。
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