先週、足立区の荒川に架かる鹿浜橋付近にシカが現れた大きな騒ぎとなりました。
最終的にこのシカは、荒川河川敷を下り堀切橋付近で捕獲され、動物園で飼われることになるそうです。
動物好きの人間にとって気になるのは、このシカがどこからどのようなルートでやってきたかということだと思います。
私は以前の記事で、明治神宮から皇居までのタヌキの移動ルートを考えたことがあるように、この手の考察は得意分野なので、今回のシカのルートについても以下で考えていきます。

まず、今年の3月にこんなニュースがありました。
3月8日20時17分 配信
八高線:『遅延』
八高線は、明覚〜越生駅間でのシカと衝突の影響で、高麗川〜寄居駅間の下り線の一部列車に遅れがでています。 #八高線 #Hachiko_Line https://t.co/Bw82N3CM0Z— JR東日本【中央方面】運行情報 (公式) (@JRE_F_Chuo) March 8, 2020
2020年3月8日、八高線の明覚駅と越生駅の間で電車とシカが衝突しダイヤに乱れが生じたそうです。
この越生駅と明覚駅の間はたびたびシカの目撃情報がある場所で、大字鹿下という“鹿”の文字が入った地名もあります。
【明覚駅と越生駅の間の大字鹿下近辺の地図】
この地図の東側には岩殿丘陵という緑地帯が広がっていますが、ゴルフ場が大量に作られるなど自然破壊が進みシカはほとんど生息していません。
ただし、西側のときがわ町や越生町あたりは秩父山地(秩父連山)に繋がる自然が多く残る場所なので、シカが生息していても何ら不思議はありません。
【上記地図をより広く見た図】
越生町には越辺川という荒川に繋がる川が流れており、この辺りから今回のシカがやって来た可能性が高いと思われます。
あるいは、越生町の北に位置するときがわ町を流れる都幾川(後に越辺川に繋がる)を伝って足立区まで下っていった可能性も考えられます。
どちらかと言えば、都幾川ルートのほうが可能性は高いでしょう。
以下のストリートビュー画像をご覧ください。
【越生町の越辺川】
越生町の越辺川はシカが歩くには開けすぎおり、人にも気付かれそうな感じです。
一方、都幾川は自然が多く、支流の槻川からならシカが下ってきてもおかしくないような雰囲気となっています。
【槻川と都幾川の合流地点】
槻川の南のときがわ町と小川町の境には仙元山と物見山のいう外秩父山地に属する低い山がありますが、そこまでは秩父山地と繋がっているため、シカは山を伝って辿り着くことが可能です。(八高線の線路を超える必要があるが)
そのため、この辺りまでシカが生息域を伸ばしていた可能性も考えられます。
【仙元山と物見山付近の地図】
この仙元山や物見山から槻川に迷い込んだシカが下流に向かい、いずれ都幾川と合流。
都幾川は、東松山市、坂戸市、川島町の境で越辺川に繋がります。
【都幾川と越辺川の合流点】
更に、この越辺川が川越市と川島町の境で入間川に繋がります。
【越辺川と入間川の合流点】
そして、入間川が川越市で荒川に合流するのです。
【入間川と荒川の合流点】
荒川以降は、一貫して東寄りの河川敷を歩いて下ったと想定されます。
最終到達点となる堀切橋付近までの走行距離は60㎞を超えると想定され、随分と長い旅路だった模様です。
しかし、このルートにはいくつかの疑問点が残ります。
それはシカにとって超えることの難しい川があることです。
1つ目は、朝霞市にある新河岸川の水を荒川に流し入れている場所です。
そしてもう1つが、シカの発見現場となった鹿浜橋の少し手前のる岩淵水門がある場所です。
特に岩淵水門の荒川の水を隅田川に放流している場所は水量が多く、シカが渡るには厳しいように感じます。
しかしです!(シカだけに)
以下の動画をご覧ください。
実は、シカは意外に泳げるのです。Σ(゚Д゚)
それどころか、海外ではシカが10km近い距離を泳いだとのニュース報道もあるほどです。

ということで、このルートでほぼ確定かと思われます。
飯能から入間川経由の下ってきた可能性もありますが、入間川は開けた砂利の河原なので、シカが歩いてくる可能性は低く、そもそも入間市や狭山市で人に気付かれてしまいそうです。
高麗川ルートも考えられますが、過去のシカ発見情報や高麗川が坂戸の住宅街近くを通ることを考慮すると、足立区まで人に気付かれずにやってくるのは、
外秩父山地→槻川→都幾川→越辺川→入間川→荒川
のルートの可能性が極めて高いと思われます。
以上が、今回の足立区に現れたシカの行動ルート考察となります。
八王子北部の多摩川近くには、滝山自然公園という自然の多い丘陵地帯(加住丘陵あるいは滝山丘陵)があります。
この丘陵は、あきる野市や八王子市西部にある山々から繋がっている自然地帯なので、ここまではイノシシも難なくやってくることができるはずです。
更に、この辺りは昭和用水堰の影響で多摩川が浅くなっている場所があるので、立川市のある北川へ容易に渡れそうな場所もあります。
【滝山自然公園付近の地図】
もう少し広い地図で見ると、滝山自然公園が西側の山地を繋がっていることが分かります。
【上記地図をより広く見た図】(411と書かれているあたりが滝山自然公園)
滝山自然公園は多摩川の南側、立川市は北側なので、滝山自然公園ルートで立川市にやってくるには必ず多摩川を超える必要があるのですが、この付近には上記した昭和用水堰の他、日野用水堰から続く6つの堰(八高線の橋脚部分を含む)の影響で浅瀬になっている場所があり、北側に渡ることはそこまで困難ではないようです。
【日野用水堰付近の地図】
滝山自然公園から多摩川さえ渡れれば、立川市までは多摩川沿いを下っていけばいいだけなので、難なく辿り着くことができるでしょう。
人間の中には無茶を省みずに行動する人がいますが、どうやらそれは人間だけではないようですね。(;^_^A
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